もカニの背中(甲羅)に付いている黒いぶつぶつ、見た目が若干グロテスクというか、正直気持ち悪いですよね……。
昔はよく『あれが付いているカニの方が美味しいんだよ』なんて言われていましたが、最近の研究では美味しさを知るための判断材料にはならないということがわかってきました。
できることなら、食べる前に全部きれいに取り除きたい…!!!!
ということで今回は、黒いアイツの正体と、アイツをきれいさっぱり落とす方法を調べてみました。
黒いぶつぶつの正体は何?人間に害はある?
この黒いぶつぶつの正体は、海に生息するヒルの1種「カニビル」が産み付けた卵。
本来であれば岩場など硬い場所に産み付けるのですが、カニビルが生息する地域によっては産卵に最適な岩場が少ないこともあるんだそうです。そしてカニビルと同じ生息地にいて、岩のように硬い甲羅を持っているカニが産卵場所として利用されているのです。
特にタラバガニ、ズワイガニ(越前ガニ、松葉ガニ)に多く見られるようで、毛ガニは生息地の関係か、はたまた毛むくじゃらだからか、カニビルの卵がつくことはないようですね。
このカニビルですが、海に棲んではいますが「ヒル」の仲間なのでやはり生き物の血や体液を吸って生きています。ですが、成虫が吸血対象とするのは海底にいるカレイやヒラメなどの魚類のみ。カニの体液を吸ったり、体内に寄生したりすることはありません。
そしてもちろん、人間に寄生することもありません。
私たちの手元に届くまでに水揚げや冷凍など様々な工程を経ているので、カニを購入した時点で卵が付いていたとしても生きている確率はほぼほぼ0に近いでしょう。すでに孵化したあとで中が空洞になっているケースも多いようです。
万が一生きていたとしても海に棲んでいるだけあって熱にはめっぽう弱いので、火を通せば卵は全滅します。仮に食べてしまったとしても人体になんの悪影響も及ぼしません。もちろんメリットもないわけですが。
カニビルは美味しいカニの証明になり得るか?
そして問題となるのがこれ。「カニビルが付いているカニは美味しいカニ」という昔からの定説がありますが、果たして本当にそう言い切れるのでしょうか?
この説の根拠としては、
というもの。
確かに、カニの脱皮というのはある意味命がけの行為で、体力を激しく消耗するため身がやせ細ってスカスカになります。脱皮直後のカニというのは本当に美味しくないものです。
しかしながら、例えば脱皮直後に漁をすれば「あぁ、これはカニビルが付いていないから脱皮直後のカニだな」「こっちはカニビルが付いているから脱皮から時間の経った良いカニだな」と推測することができますが、実際はカニの脱皮時期と漁の解禁時期には数ヶ月のズレが生じることがあり、甲羅がある程度固まっていればそれほど脱皮から時間が経っていなくてもカニビルが付いていることがあるのです。
ちょっと説明がややこしいですが、つまりはカニビルが付いている・付いていないで身入りの良し悪しを判断することは難しいということです。
それに生息地に硬い岩場さえあればカニビルはそちらに産卵するので、めちゃくちゃ良いカニだったとしても付いていないことは普通にありますしね。
カニビルをきれいに取る方法
カニビルが付いていても体に害はない、と先ほどお伝えしましたが、精神衛生上やはり調理前には取り除きたいもの。
特に鍋や味噌汁に入れるときには害がないとわかっていても嫌ですもんね・・・。
お湯で茹でたり、手で剥がそうとしてもなかなか簡単に落ちてくれないので、少々強引ですが解凍後に清潔なタワシでゴシゴシこすりましょう。シンプルですがこれが1番きれいに取れてくれます。というか正直言って他にやり方がないだけなんですが(汗)
もし「ウチはこんなふうに取ってるよー!」というご意見があれば教えてください。私も引き続き調査をしたいと思います。