巨大な体に細長い脚、そして決して「かわいい」とは言えないいかつい顔を持ち、世間から『怖い』『気持ち悪い』『エイリアンみたい』と散々な言われようをしている不憫なカニ・タカアシガニ。
水族館でしか見る機会のないタカアシガニですが、実は食べることができるって知っていましたか?
水揚げされる静岡県沼津市戸田や、愛知県蒲郡市の近辺に行くとタカアシガニの料理を提供しているお店が何軒かあります。さらに言えば、おすすめはしませんが実はネットでも購入することができるんです。
今回は、「そもそもタカアシガニって何ぞや・・・」という所から、実際にタカアシガニを食べることのできる店舗、旅館を6つご紹介します。
タカアシガニの生態まとめ
タカアシガニ(高足蟹)は十脚目短尾下目クモガニ科に分類されるカニの仲間で、「世界最大の節足動物」としてギネス世界記録にも認定されています。
大昔からほぼその姿を変えずに存在していると考えられており、付けられた別名は「生きた化石」。
日本近海の水深150m~800mの海底部に生息しており、大きいものだと脚を広げたときに3m~4mになります。体重も最大で19㎏と、ちょうど人間の5歳児の平均体重と同じくらい重くなります。(オスの場合。メスはこの4分の1ほど)
【出典:http://marukiti.i-ra.jp/e765816.html】
上の写真のように、赤ちゃんのころは全身をホワホワした毛に覆われ、脚には小さなトゲトゲもあります。成長する過程でこれらはなくなるのでこれはある意味貴重な姿です。(若いころは毛がふさふさ、そしてトゲトゲしい・・・人間と同じですね(笑))
成長すると体は大きくなりますが性格は至って大人しく、攻撃性はありません。むしろストレスに弱い繊細な所があり、例えばタカアシガニを海から水族館へ輸送する際、移動によってストレスや身の危険を感じると自ら脚を切り離してしまいます。
この行為は【自切(じせつ)】と呼ばれるもので、トカゲが天敵に見つかったとき、自らしっぽをちぎって逃走する行為と同じものです。切り離した脚は幾度かの脱皮を繰り返すうちに再生しますが、他の脚より小さい事が多いようです。
漁場である戸田では、古くからタカアシガニの甲羅に怖い顔を描いて「魔除け」として玄関に飾る風習があります。大正から続くこの文化が今では地元の特産品になり、観光客のお土産屋として人気を集めています。
タカアシガニはどんな味がする?
一昔前はタカアシガニは網にかかっても見向きもされないカニでした。が、ここ最近は珍しい地元グルメ、名物料理として【食べるために獲る】ようになってきました。
タカアシガニは一般的に「身が水っぽい」「カニ独特の甘みがない」と表現されることが多いカニです。しかし一方で、「甘く柔らかくおいしい」「かにみそも非常に濃厚でコクがある」と言われることもあります。
なぜそんな両極端な意見が出るのかというと、タカアシガニはカニの中でも調理法によって、また調理者の腕によって、味に非常に大きな差が生まれるカニだからです。
タカアシガニは驚くべきことに、水から揚げてしばらく放っておくと身が溶けてしまう性質を持っており、さらにはタラバガニやズワイガニと違い茹でると身崩れを起こしやすいデリケートな一面を持っています。
それを知らずに調理をしてしまうと、上記のように「水っぽくて美味しくないカニ」が出来上がってしまうのです。
また、かにみそはそのカニが今までどんな餌を捕食していたかによって、濃厚になったり苦みがあったり黄色くなったり茶色くなったりしますが、タカアシガニは非常に好き嫌いが激しいことでも知られており、貝ばっかり食べている個体と昆布ばっかり食べている個体では当然かにみその見た目・味わいも違ってきます。
だから食べた人の感想が真っ二つに分かれるのは仕方のないことなんですね。
食べてみるまで味はわからないのでかにみそに関しては運次第としか言いようがないのですが、身に関してはタカアシガニを知り尽くしたその道のプロがいるお店に行けば大丈夫!甘くて美味しいタカアシガニが食べられる店をご紹介いたします。
実際にタカアシガニを食べられる店舗はどこ?通販でも買える?
タカアシガニの主な産地は静岡県沼津市戸田(読み方:へだ)や駿河湾、御前崎沖あたり。タカアシガニはその周辺のごく限られた一部の店舗でのみ食べることができます。
※通信販売(楽天市場)でも「伊豆グルメ」という店舗のみ販売していますが、サイズが大きく一般人が調理するのは難しいため、特別な事情がない限りやはり地元へ出向くのが1番です。
タカアシガニを食べに行くのにおすすめの時期(=旬)は漁の解禁期間である9月半ば~5月ごろまで。せっかくなら獲れたてを食べられるこの期間を狙っていくのが良いでしょう。
網元光徳丸 食事処 かにや へだ本店
タカアシガニと言えばかにや、と言われるほど名の知れた名店中の名店。戸田本店と沼津港店があります。1階部分はお土産屋さんとタカアシガニの生簀があり、2階部分でお食事をします。
店名にもある「網元」とはタカアシガニを獲る船を所有しているという意味。だからこそできる料金設定とのことですが、正直お安くはありません。
上記の写真のように1匹丸々食べるには「特選タカアシガニ定食」を注文する必要があります。カニの他、刺身盛り合わせや小鉢、茶碗蒸し、お味噌汁、デザートも付いて、料金はカニの質・サイズにより変動しますがおよそ一杯15,000円~20,000円の間ぐらい。(2人前)
大きいがゆえ、途中で飽きてしまわないように、茹で、焼き、刺身と変化をつけることをおすすめします。(焼きと刺身はこれまた別途料金がかかります)
一生に一回食べるか食べないかなので、金額のことは気にせず楽しむのがいいかもしれませんね^^
営業時間は戸田本店が10:30~16:00のランチタイムのみで、月曜日・火曜日が店休日。沼津港店は11:00~16:00、17:00~19:00で水曜日が店休日となっています。
西伊豆・戸田の割烹民宿、食事処 丸吉
丸吉は目の前に広がる海を見ながらお食事、宿泊ができる民宿です。上記「かにや」よりも料金はリーズナブルで、気軽に立ち寄りやすい雰囲気のあるお店です。
メニューは、『タカアシガニ雑炊』が800円、『タカアシガニ天丼』が1,600円、『タカアシガニの天ぷら定食』が2,500円、お刺身やお味噌汁の付いた『タカアシガニ定食』が4,800円、上の写真の『タカアシガニのフルコース』が13,000円~。
タカアシガニはお店の方が手際よくキレイにさばいてくださるので、手を汚すこともなく、こちらは食べることだけに集中出来ます。もし食べきれなくてもお持ち帰りできるのでご安心を。
また、体が大きいゆえ注文してから茹で終わるまで、つまり手元に届くまで結構時間がかかる(3~40分くらい)ので、そこだけは覚悟しておいてくださいね。
早めに予約を入れておくことで品質のいいカニを取っておいて貰えるそうなので、行かれる際は事前予約を忘れずに。
ジャンル:高足ガニ料理専門店
アクセス:沼津IC→修善寺周り80分
住所:〒静岡県沼津市戸田566-2
TEL:0558-94-2355
営業日:月~木…午前10時~午後5時、土・日・祝…午前9時~午後7時
朝食営業、昼食営業、日曜営業、金曜定休
情報掲載日:2017年9月4日
西伊豆戸田「の一食堂」
戸田漁協の真ん前にある「の一食堂」。こじんまりとした食堂で、ゆったりと海を眺めながら新鮮な海の幸に舌鼓を打つことができます。
ここのタカアシガニは、大きさではなく身の質の良し悪しとかにみその多さで価格が決められます。具体的には10,000円、13,000円、15,000円、20,000円と4段階で決められるのですが、どれも2~3人で食べて満腹になるサイズ感で、大きさに大幅な違いがあるわけではありません。
ついさっきまで活きていた新鮮なカニを茹で上げてくれるので味は間違いない!と高評価な口コミが多数寄せられています。
人気店なのに席数が少なく、またタカアシガニという特殊な食材を扱っている関係上、来店前の予約は必須です。
ジャンル:高足ガニ料理専門店
アクセス:沼津ICから車で70分
住所:410-3402 静岡県沼津市戸田港漁協前
TEL:0558-94-3225
営業時間:10:00~17:00 定休日は水曜日
情報掲載日:2017年9月4日
さかなや 魚清
さかなや 魚清ではお食事スペースの隣に大きな生簀があり、大小さまざまなタカアシガニが所狭しと入れられています。注文するとこの生簀の中からカニを取りだして調理してもらえます。
タカアシガニの料金は「時価」ということになっており、カニのサイズにより1匹1匹値段が違います。「○○円くらいのもので」というと予算に合わせて丁度いいカニを選んでくれます。
おおよその目安としては、足1本が1,500円~、エビフライやお味噌汁が付いた定食が4,500円~、丸々1匹のタカアシガニは15,000円~。
下↓の「さかなや 魚清」という文字をクリックして公式サイトに行くと【お食事代8%オフクーポン】がもらえます。行かれる方はぜひ。
※ちなみに東京都新宿区高田馬場にある「さかなや魚清」とはおそらくなんの関係もありません。
ジャンル:高足ガニと絶品磯料理の店
住所:静岡県沼津市戸田580
TEL:0558-94-2114
営業時間:平日 11:00〜17:00 土日祝日 10:00〜20:00 不定休
情報掲載日:2017年9月4日
魚重食堂
「魚重食堂」は沼津で有名な深海魚料理を扱う店。地元じゃない人間からすると「深海魚っておいしいの!?」と思ってしまいますが、上品かつクセのない淡白なお味がするそうです。
ただ、毎年9月10日~翌5月10日までは深海魚のお刺身が食べられますが、この期間以外(つまり禁漁期間)は主に天丼などの提供になるようです。
タカアシガニも水槽に数匹活きた状態で入れられており、大きさにより1匹約10,000~15,000円の間ぐらいのお値段だそうです。
コチラの店はタカアシガニで有名というより深海魚のお刺身、定食目当てで来店される方が多いので、カニの在庫があるか、事前にしっかり確認をしてくださいね。
西伊豆・土肥温泉 露天風呂の旅館「こいけ荘」
「こいけ荘」は、伊豆で獲れた魚介類を使ったお料理と、富士山と夕陽を独り占めできる天然温泉が自慢の民宿です。
夕食には上記写真のような会席料理が出てきますが、プラス料金を支払うことでタカアシガニを追加注文することができます。タカアシガニの方の料金は仕入れたカニの大きさ・質次第ということで、目安としておよそ15,000円~用意が可能とのこと。
宴会場やカラオケルームもあり、また貸し切り無料の家族風呂もあったりと旅の疲れを癒すには十分すぎるぐらいのお宿です。