通販でカニを購入するとほとんどのケースで「冷凍されたもの」が届くと思います。
この冷凍カニには
- 水揚げ後、すぐに急速冷凍された”生のカニ”
- 水揚げ後、1度茹でてから急速冷凍された”茹でカニ”
の2種類があります。
カニにはそれぞれ1番ベストな解凍の仕方というものがあり、解凍ひとつで味に天と地ほどの差が生まれる非常にデリケートな食材です。
せっかくのカニなのに、やり方を間違えると「身がスカスカ、パサパサでおいしくない」「旨みが全く感じられない」という最悪の結末を迎えかねません。
そこで今回は「カニの解凍」にスポットを当てて、1番おいしく仕上がる方法をわかりやすく丁寧に解説していきます。
なんだか難しそう、面倒くさそう、と感じるかもしれませんが、やることは非常に簡単で、「カニの解凍が初めて」という人でも手順通り進めて頂ければまず失敗することはありません。冷凍カニを買った人なら誰もが通る道ですので、よりおいしくいただくためにぜひあなたもチャレンジしてみてください。
冷凍生カニの解凍方法
それでは最初はまず「生のカニ」を解凍する手順から解説していきます。(ポーション、むき身、爪などはほとんどがこちらに当てはまります)
流水解凍をおすすめしているサイトも多く見受けられますが、当サイトが絶対の自信をもっておすすめするのが「氷水解凍」。
経験上、この氷水を利用した解凍がもっとも速く、もっともおいしく出来上がります。急ぎのときはもちろん、そうでないときも生のカニの解凍はこれ一択!
用意するもの
- 食べる分のカニ
- 氷水
- ジッパー付きビニール袋
- カニがすっぽり入る器(ボウルやバケツでも可)
【手順①】
冷凍庫から取り出したばかりのカニの表面には「グレース」といって氷で出来た薄い膜が付いています。これはカニの天敵『乾燥』から守るためにわざと業者が水を吹き付けて作ってくれているものです。まずはこの氷の膜を軽く洗い流しましょう。
【手順②】
次に、ジッパー付きビニール袋の中にカニを入れるのですが、このとき可能な限り中の空気を抜くようにしてください。また、カニの種類によってはトゲが鋭く袋を突き破ってしまうこともありますので、(特にタラバガニのときは)2重にしておけばより安心です。
【手順③】
用意したバケツやボウルに氷水を張り、その中に先ほどのカニが入った袋を完全に沈めます。もしカニが浮いてくるようであれば重しになるものを上から置いておきます。(重しは重たいガラス皿でも水の入ったボウルでもなんでもOK)
【手順④】
10~15分ほど放置したあと、カニの1番分厚い部分を押してみて少しへこむ程度に解凍できていたらバッチリ◎。カニは完全解凍よりも中心が少し凍っているぐらいで止めるほうがおいしく仕上がります。
【手順⑤】
染み出してきた水分(グレースが溶け出したものです)を流せば解凍終了です。万が一カニが食べきれずに余ってしまったら、乾燥を防ぐために新聞紙に包み、翌日~翌々日の間に食べきってください。冷凍生カニのおいしい食べ方はしゃぶしゃぶ、カニ鍋です。
★生のカニは解凍後、しばらくすると黒変といって身が黒く変色してしまいます。味、風味、食感などは変わらず、食べても体に害はありませんが、見た目が悪くなるためできるだけ早くお召し上がりください。
★解凍後の賞味期限は冷蔵庫で2日です。
★冷凍のカニは急激な温度変化に弱いので電子レンジを使って解凍しないでください。また、凍ったまま鍋に入れたりしゃぶしゃぶをしたりするとカニのうま味がすべて出汁の方に流れてしまいます。
★また、解凍後の再冷凍は風味を大きく損ねるため避けてください。
冷凍茹でカニの解凍方法
お次は「ボイルされたカニ」を解凍する手順を解説していきます。
基本は「冷蔵解凍」をおすすめしていますが、お急ぎであれば「自然解凍」で時間短縮をすることができます。
まずは冷蔵解凍の手順から見ていきましょう。
冷蔵解凍
用意するもの
- 食べる分のカニ
- 新聞紙もしくはキッチンペーパー
- 水切りバット
- ビニール袋
【手順1】
カニ身の乾燥を防ぐため、新聞紙やキッチンペーパーでカニを丸ごと包みます。
【手順2】
解凍中に薄い氷の膜・グレースが溶け出してくるので、包んだカニを水切りバットの上に載せます。そして本来ならばここで冷蔵庫へ入れるところですが、この溶け出した汁が結構な”カニ臭さ”を放つので、他の食材へのにおい移りを防ぐために水切りバットごとビニール袋に入れて口を縛ります。
【手順3】
【手順2】を冷蔵庫に入れます。このとき、カニ味噌が流れ出てしまうのを防止するため、甲羅が付いているカニは必ず甲羅を下向きにしておいてください。
【手順4】
解凍時間は姿カニで丸1日、足のみで12時間程度がひとつの目安です。時々解凍状態を見ながら時間を調節してください。完全に解凍してしまうと旨みも一緒に流れてしまうので、8割がた溶けていたらそこで解凍ストップです。もし解凍後のカニが余ってしまったら新聞紙にくるみ、必ず2日以内に食べきってください。
冷凍茹でカニはもともと塩味がついているので、そのまま醤油やポン酢に付けてパクッといくのが美味しいです。
自然解凍(早く解凍したいとき)
次にご紹介する方法はアルミの熱伝導率の高さをうまく利用して、常温で放置しておくよりも早くおいしく解凍する方法です。過去には所ジョージさんの「ためしてガッテン」というテレビ番組で紹介されたこともあります。ただし、これはアルミとカニの接地面がないと意味のない方法ですので、トゲの凹凸が少ないズワイガニや毛ガニには適していますが、一つ一つのトゲが大きいタラバガニや花咲ガニには不向きです。
用意するもの
- 食べる分だけのカニ
- 新聞紙もしくはキッチンペーパー
- アルミ皿やアルミ製のお鍋
【手順1】
届いたカニを発泡スチロールから取り出して、新聞紙もしくはキッチンペーパーで包みます。
【手順2】
甲羅が付いているものは甲羅の面を下にしてアルミ皿の上に寝かせ、2~3時間キッチンに放置します。(室温が25度の場合)
【手順3】
半解凍~8割解凍ぐらいで解凍終了です。お好みの料理にお使いください。薄く塩味がついているのでそのままパクッと食べられます。もし余ってしまった場合、新聞紙に包み冷蔵庫に保存して翌日か翌々日までに食べきってください。
茹でカニの注意点
★日持ちはしません。解凍後の賞味期限は冷蔵庫で2日です。
★解凍したものが塩辛い(しょっぱい)場合は、カニを10分弱ぬるま湯に漬けてみてください。味に影響を及ぼすことなく塩抜きができます。
★解凍後の再冷凍、電子レンジでの解凍(解凍モードも)は風味を大きく損ねるため避けてください。
★1度茹でてあるので再び茹でる必要はありません。2度茹でするとうま味がお湯に溶け出してしまうのでご注意ください。